お腹.ヘッタ。

進捗つらぽよ

Go Conference 2026で発表とスタッフをやってました

Why

やったことや思ったことを忘れる前に、記事にしておこうと思います。

※なお、この記事は所属企業や所属団体を代表するものではなく、筆者個人の意見です。

What

gocon2026のパネル

去年に引き続き、Go Conference 2026で登壇してきました。今年は40分枠で応募し、採択していただきました。

takeio.hatenablog.com

今回も大変高い倍率の中で採択していただき、嬉しく思います!

発表内容について

When Goroutines Are Not Enough: Runtime Locality in High-Throughput Go というタイトルで登壇しました。

発表内容を3行でまとめると、こんな感じです。

  • Goroutineは並行性を表す単位だけど、実行場所やローカリティを保証する単位ではない。
  • では、CPU配置の最適化という観点では、どんなことが起きるのか?
  • 自作のパケットキャプチャツールを題材に見ていこう!

という内容で話しました。

事前の練習では普通に話すと40分を超えていたので、時間内に収まるかなと不安になり、当日はだいぶ早口になってしまいました。そこは反省点ですが、少しでも面白がってもらえていたら嬉しいです。

当日は立ち見も出ていて、たくさんの方に聞いてもらえてよかったなと思いました。有意義な時間にできていたら嬉しいです。

スライドは以下の通りです。良ければスターとかしてくれると嬉しいです!

speakerdeck.com

スタッフ業をしてみた感想

参加の背景

自分はこの4年間*1、登壇する側ばかりをやってきました。

例えば、有名どころをいくつか挙げると、以下のようなイベントで登壇してきました。どれもCFPを出して高い倍率の中で採択されるか、招待してもらう形で登壇するイベントです。

  • Go Conference
  • YAPC
  • クラウドネイティブデイズ
  • PyCon APAC
  • JANOG LT × 2
  • KubeCon Community Day × 2
  • eBPF Japan Meetup

また、今年度は以下のイベントで話す予定です。

  • Go Conference:登壇済み
  • Kotlin Fest:登壇予定
  • eBPF Workshop:登壇予定

こうして見ると、登壇に関しては、エンジニアの中でもそこそこ経験を積ませていただいたのではないかと思っています。

一方で、一昨年からはeBPF Japan Meetupの共同オーガナイザーもやっています。テーマを決めて登壇者を調整したり、会場を借りたり、懇親会を準備したりと、裏方というか、プロデューサーやディレクターに近い仕事をしています。参加者は多くても30〜50人ぐらいのイベントです。

ebpf.connpass.com

こうした経験を通じて、技術イベントはどうやって作られていくのだろう、どうやって熱量を維持しながら登壇者を選んでいくのだろう、と考えるようになりました。どんな基準で良い発表者を選ぶのか、登壇する側はどうやって選ばれるのかも気になっていました。

そこで、大きなイベントのスタッフをやって学びたいと思い、今回はスタッフとしても参加しました。

やったこと

自分が関わったのは、CFPのレビュー、Go本家のカンファレンスページの掲載作業、スピーカーガイドの作成、当日のスポンサー対応です。

特に掲載作業は面白い経験で、このようにGo本家のWikiにはカンファレンスページがあります

go.dev

ここに載せるためには、パッチを出す必要があり、初めてのGoリポジトリへの投稿しました。 https://go-review.googlesource.com/c/wiki/+/798120 

go本体のwikiにパッチ投稿した様子。参加した人みんなでco-authered-byしてみた。

Goへの貢献の流れはこういう感じなんだなぁーと同じgerritなのでVPPにパッチ出した時を思い出してました。

さて、参加のタイミングから、自分が一番やりたかったのは、CFPのレビューとディスカッションを通じて、採択する発表が決まるまでのプロセスを見ることでした。審査基準の目線合わせから参加し、なるべく議論にも加わりながら、175件のうち自分の投稿を除く174件にレビューコメントを付けました。

自分の投稿を除いているのは、レビュアーもCFPに応募できたためです。自分の投稿にはレビューコメントや点数を付けず、なるべく公平になるよう、投稿内容にも自分だと分かる情報を書かないようにしました。いわゆるブラインド方式でレビューされるよう心がけた形です。

ただ、採択が決まるまでは本当にどきどきしました。オンラインでなければ、顔や反応で自分の投稿だとばれてしまいそうなぐらい、心臓に悪かったです。

レビュアーをするなら、自分も応募して審査中ずっとどきどきするのでやめた方がいいです。大変つらい....😇(精神衛生上悪い)

細かい意思決定の是非については差し控えますが、レビューは本当に真剣に行いました。全部読んだので決めましょう、というものではなく、何度もラウンドを重ねて、自信を持って選んだと言えるCFPを採択することを目指しました。夜遅くまでやっていたので、大変でした。

これを読んでいる方の中にも、CFPを出して採択されなかった方がいるかもしれません。採択は、さまざまな意見や力学の中で決まっています。自分が良いと思ったCFPでも採択されなかったものは多く、本当に運の部分も大きいと思います。luccafortさんが良いことを言っていたので、貼っておきます。

一方で、通りやすいCFPは確かにあり、コツというかセンスが関わる部分もあると確信しました。せっかくなので、知見を共有したいと思います。 noteだったら有料で売れる気もしています。冗談です

CFPを練るにあたっての所感と良いCFPとは

正直、今回はCFPを出すにあたって、特別な戦略を立てたわけではありません。ただ、昨年のブログで書いたポイントは押さえました。

  • 明瞭さ:平易な文章で短くまとめる
  • インパクト:聴講者が持ち帰れる内容を明示する
  • 適時性:なぜ今話すのかを事実とともに書く
  • 実現性:目安となるタイムテーブルを提示する

今年のプログラムは、昨年や一昨年と比べると、やや傾向が変わったように感じます。

以前は、以下のような発表が通っていました。

  • Goの新しい標準ライブラリや機能を主軸に話す
  • よく使われるライブラリを深く掘り下げる

一方、今年はユースケースや、これまであまり語られていなかったところに光を当てる発表が増えた気がします。そういう発表も拾いたいという話があったのは事実ですが、最終的に採択されたCFPを見ると、それだけが選考の主軸だったわけではないと思っています。ちゃんとキラッと光るものがありました。

自分が思うに、良いCFPには、「高い技術的インパクトがありつつ、聴講者に何を持ち帰ってもらえるのか」が書かれています。 もちろん、これだけで決まるわけではありません。ただ、ここを押さえたCFPは評価の上位に来ると思っています。これはこれだけ多くのCFPを読み、自分自身もいろいろなCFPを通してきた経験から、確信を持って言えます。

例えば、登壇に慣れていそうなgoccyさんやymotongpooさんのCFPを見ると、以下のような点が押さえられていると感じます。

  • ワクワクする内容か? 面白い技術トピックや、共感できる話があるか。
  • なぜその人が話すべきなのか? その人ならではの知見や試行錯誤、その分野での長年の経験があるか。
  • なぜコミュニティが聞くべきなのか? 今の技術的な潮流や、Goで次に注目されそうな話題とつながっているか。

このように、通っているCFPは、どれも推薦したくなるポイントがはっきり見えます。更に少数の尖った発表であっても、"N=1"な、所謂お前だけちゃう?という話ではなくちゃんと知見の形になってるように見えます。あとこのイベントはGoに関係する事であると言う主張が求められるのでそこを抑える必要がある独特なポイントがあります

(細かく見れば類型に整理できると思いますが、長くなるので、それはまたの機会にします...)

もう一点、CFPを推敲するコツを書き残しておきます。自分がこのイベントのオーガナイザーだったら、どんな発表を採択したいかを考えてみると、見えてくるものがあると思います。

例えば、こんなことを考えてみます。

  • この内容で、ちゃんと現地で登壇できるのかな?
  • 地方のイベントならぜひ聞きたいけど、年次カンファレンスの限られた発表枠を使ってでも採択したいかな?
  • 生成AIにありがちな言い回しが多く、適当に書いたように見えないかな? 余分な言葉が多くて、読み手は読みづらくないかな?

これは、小さなイベントでも大きなイベントでも共通する考え方だと思います。上司に良い評価をしてもらうにはどうすればいいのか、と相手の立場から逆算する感覚に近いですね。この観点で見直してみると、採択に近づくのではないかと思います。

ただ、何度も言いますが、CFPを通すにはセンスと運の両方が必要です。仮に通らなかったとしても、仕方ないです。全部のCFPがレイダーグラフ(HxHの6能力みたいなアレです)の全部をいい感じに埋めれてることはないので最後は運の問題なのです。

なので、そこは切り分けてイベント自体を楽しむのがおすすめです。

他の発表たちの見てた感想

今年、一番期待していたのは、goccyさんのGo における FFI のこれまでとこれからでした。期待を裏切らない、良い発表でした。

gocon.jp

発表では、線形メモリをmmapで確保することで、サンドボックス特性を保っているという話がありました。WasmからGoに変換するときに手を入れなければ、確かに保たれるのでしょうし、元のWasmのABIをうまく使っていて、なるほどなと思いました。

一方で、システムコールやファイルアクセスの制御などは、まだ未解決のように聞こえたので、そのあたりは今後の研究の余地があるところかなと思いました。自分もgoccyさんのwasm2goに着想を得た、似たようなツールを作っているので、公開したらどこかで発表したいと思っています。

20260914 0800 追記

ご本人からコメントを貰い誤解が解けました。詳しくはコメントを参照。だいたいできない事がないという状態でスゲーとなりました!

今回はスタッフ業務があり、発表は一つしか見られませんでした。資料が徐々に公開されているので、後からゆっくり見てみようと思います。

終わりに

スタッフ参加して、運営の方々がボランティアで多大な労力をかけていることには大変頭が下がる思いでした。

この記事を書きながら思い出したのですが、最初にスタッフへ応募したときは、機会があればNOCにも関われたら、などといろいろ考えていました。ただ、本業や大学院などで忙しく、思ってたよりも本当にわずかな貢献になってしまいました。

そもそも、初対面の人に挨拶するのは自分は得意ではないな、と改めて思い出したりもしました。人とのコミュニケーションが苦手だと、こういうときにつらいです...😇

ということで、スポットでの参加ばかりで、タイミーさんのような自分を受け入れてくださったGo Conferenceのスタッフの皆様に感謝しています。

また、資料作りに多大な貢献をしてくれた妻にも感謝しています。本当に、彼女のマサカリ等がなければ資料が成り立っていなかったかもしれません。

そして、レビューしてくれた同僚の皆さん、特に直前の依頼にもかかわらず、いろいろとレビューしてくれた@masu-miパイセンにも感謝を伝えて、この記事を締めくくりたいと思います。

*1:現職が10月で4年目終わりなのである